「これ、こうした方がいいのでは」と思っても、なぜか意見が通らない。客先常駐や下請けの立場で働くSEなら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
これは、あなたの実力や経験が足りないからではありません。多くの場合、客先常駐・下請けという「構造」そのものに原因があります。この記事では、その構造的な理由と、実際に僕が感じた場面、そしてうまく向き合うための方法を実体験を交えて解説します。
なぜ客先常駐・下請けでは意見が通りにくいのか
客先常駐や下請けの立場で意見が通りにくいのには、主に2つの構造的な理由があります。
1つ目は、客先と直接やり取りする窓口がないことです。契約上、客先企業とやり取りできるのは基本的に自社の管理者(現場責任者)を通じてのみで、常駐している個々のメンバーが客先に直接意見や要望を伝える窓口は用意されていないことがほとんどです。これは、客先が現場の個人に直接指示を出す実態になると、契約上は請負・準委任でも実質的な労働者派遣とみなされてしまう「偽装請負」のリスクがあるためです。窓口が自社の管理者に一本化されている以上、現場メンバー個人の声はそのまま届きにくくなります。
2つ目は、納期の絶対性です。スケジュールは元請けや発注元が決めた通りに進むのが前提で、下請け側の都合で調整できる余地はほとんどありません。工程の途中で遅れが生じても、下請け側の作業期日が調整されることは少なく、そのしわ寄せが下請け側に集中しやすい傾向があります。
つまり、意見が通らないのは「言い方が悪い」からでも「実力が足りない」からでもなく、そもそも意見を言う権限も、意見を反映させる時間的な余裕も、構造的に用意されていないケースが多いのです。
実際に「意見が通らない」と感じた場面
僕自身、客先常駐・下請けの立場で働く中で、意見や要望が通らないと感じる場面が何度もありました。
ある運用保守案件では、以前その現場を担当していた別の下請け会社が書いたコードが、驚くほど保守性を無視した作りになっていました。上司いわく、これは前任の会社が悪いわけではなく、元請けから厳しい納期を課され、力技で完成させるしかなかった結果とのこと。運用効率を考えた提案をする余地すら、構造上なかったわけです。
意見が通らなかったのは、技術的な提案だけではありません。コロナ禍で世の中がテレワークに移行する中、常駐先の企業からはなかなかテレワークの許可が下りませんでした。セキュリティ面に加え、何かあった際の責任を自社・常駐先のどちらが負うのかがはっきりせず、そこで話が難航していたようです。感染すれば業務が回らなくなるかもしれない不安を抱えながら、僕らの要望はなかなか受け入れられず、テレワークが認められたのは世の中の流れから大きく遅れてからのことでした。
この状態が続くとどうなるか
工夫の余地がなく、自分たちのペースで改善を回す(PDCAを回す)こともできない。そうした状態が続くと、「言われたことをこなすだけなら、別に自分でなくてもいいのでは」という感覚が強くなっていきます。そしてそれが、「自分がここにいる意味があるのか」という自問自答につながっていきます。実際、僕自身は何度もそう感じ、落ち込む日々がありました。
これは決して珍しいことではなく、客先常駐・下請けという立場に置かれた人なら、多かれ少なかれ経験することだと思います。
うまく向き合うための方法
提案の仕方を変えてみる
「自分のやり方に変えたい」という主観的な伝え方ではなく、「作業効率が上がる」「コストが下がる」など、相手にとってのメリットを客観的な形で伝えると、通りやすくなることがあります。
裁量がある部分を見極める
組織全体の方針やスケジュールは変えられなくても、自分に任された作業の進め方や、コードの書き方・ドキュメントの残し方、報告のタイミングなど、誰の許可もいらない範囲は必ずあります。そこに集中する方が、精神的な消耗を防げます。
環境そのものを変える選択肢を持つ
工夫や提案をしても状況が変わらないなら、今の環境自体を見直すのも一つの手です。今の会社に所属したまま案件(現場)を変えてもらう、あるいは思い切って転職して働く環境自体を変える。そうした選択肢を知っておくだけでも、「意見が通らない」というモヤモヤを抱え続けるよりずっと気持ちは楽になります。
まとめ
客先常駐や下請けで意見が通らないのは、実力不足のせいではなく、多くの場合その働き方特有の構造が原因です。まずはその構造を理解した上で、伝え方を変える、自分の裁量が及ぶ範囲を見極めるといった向き合い方を試してみてください。
それでも「このままでいいのか」というモヤモヤが消えないなら、案件チェンジの相談に加えて、【若手向け】サポート充実の転職エージェントおすすめ3選や総合型と特化型、どちらの転職エージェントを選ぶべき?も、選択肢を広げる参考にしてみてください。


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